性依存症・セックス依存症がわかる漫画〜性欲モンスターや性犯罪との違い、依存の仕組み、回復方法

「性依存症」「セックス依存症」ときくと、自制できない「性欲モンスター」というイメージがあり、止めたくても止められない脳の機能障害であることは、社会的に広く知られていません。

性嗜好障害・強迫的性行動症（性依存症）は、性行為への耽溺、自慰行為、ポルノ視聴、性風俗店の利用で、日常生活に大きな支障出るほど、一般的な社会通念を逸脱した反復的・強迫的な性行動や衝動があるとされています。

この依存症の社会的認知が進まないのは、相談しにくさに加え、性犯罪との区別がつきにくいこともあるでしょう。

性依存症、セックス依存症と称されるのは、合法タイプ。必ずしも犯罪に至るわけではなくても、倫理的に問題があったり、生活に支障をきたしたり、生活が破綻する人はいるようです。

その原因も、単に「性欲」の問題ではなく、脳の報酬系の機能不全、過去の経験、承認欲求などが、複合的に絡み合っているからこそ、その行為がやめたくてもやめられないのです。これは、他のアルコール依存、ギャンブル依存、買い物依存、ゲーム依存などとも、共通しています。

性依存症やセックス依存症について描かれた漫画はほとんどありませんが、理解を深めるのに役立つ漫画と読みやすくわかりやすい本を厳選してご紹介します。

「セックス依存症」といったタイトル漫画は他にもありますが、「性嗜好障害」という意味での「セックス依存症」ではなく、恋愛漫画や成人向け漫画であることが多いです。「依存症」の意味するところが全く異なりますので、ご注意ください。

【性依存症】
セックス依存症になりました。＜決定版＞

奔放な性生活を謳歌してきた青年・津島は、女性からの暴行事件を機に心身に不調をきたした。医師から「セックス依存症」の疑いがあるとの診断を受け、勧められたグループセラピーを通して様々な人々と出会う。露出癖のある若者、痴漢常習犯、不倫にハマる美女。時に罪に手を染めつつも＜嗜癖＞に耽溺する人々との出会いが、惑う津島の心を、少しずつ、しかし確かに変えていく――。性依存や性倒錯の葛藤と苦悩を、迫真のリアリティで描く!!

amazon

作者の実体験をもとに描いた性依存症漫画。

あまり語られることもなく、社会的認知度も低いため、ただの「自制心が効かないエロ」程度かと思っている方も少なくないかと思われますが、ご本人の葛藤や苦悩、どのような症状があるのかを知ると、衝撃を受けます。

「セックス依存症」といったタイトル漫画は他にもありますが、「性嗜好障害」という意味での「セックス依存症」ではなく、恋愛漫画や成人向け漫画であることが多いです。「依存症」の意味するところが全く異なります。

＜決定版＞とされていますが、連載したものをまとめたものです。治療過程等があっさりまとめられていますが、性依存症とはどのようなものなのか、この１冊でざっくり掴めます。

WEBと、その後紙媒体で連載された内容は＜合本版＞で読めます。

＜決定版＞よりも、治療や、自助グループでの活動、性衝動に突き動かされ人生が大きく変わってしまった人々との対話など、より詳しく描かれています。

＜合本版＞は、全3巻。読み応えがあります。

【性行為依存】
セックスちゃん （全2巻）

「私にとってセックスは生きてる証だ」
セックスを通じて他人とコミュニケーションすることが生きがいの成人女性・史恵。
奔放なセックスライフを送ってきた彼女だったが、歳を重ねるごとに周囲の人々は結婚や出産などで身を固めていき、セックスしてくれる相手はすっかり減ってしまう…
危機感を覚えた史恵はマッチングアプリで相手を探し、やがて高橋という男性に出会う。
しかし初めてのデートで彼はホテルに入るなり「僕はセックスが嫌いなんです」と言い出し…!?

amazon

恋愛や結婚、出産への憧れと、自身の抱える性事情の間で揺れ動くこじらせ系アラサー３人のオムニバス形式漫画。

日常生活に大きな支障があるような「依存」はありませんが、コミュニケーションや、自己肯定の1つの手段としての性行為にライトに依存。病的でも、犯罪性もありませんが、性行為による自己の正当化という点では、考えさせられるものがあります。

2巻は『高学歴ちゃん』と『男女平等ちゃん』。1巻とは別の切り口のこじらせ系女子の性の悩みが描かれています。

【ネットポルノ依存】
マンガで分かる心療内科 依存症編(ネット・スマホ・ゲーム・ギャンブル・ポルノ) 

誰しもがいつの間にかなっている依存症とは何か?
前回の薬物アルコールに続き、今回はネット、スマホ、ギャンブルなどの依存症を克服するにはどうしたらいいかをマンガで分かる心療内科シリーズのゆうきゆう&ソウコンビがわかりやすく解説!

amazon

ギャグ系漫画＋わかりやすい解説で人気の「マンガで分かる心療内科」シリーズのネット、スマホ、ゲーム・ポルノなどの依存症編。

ノリは軽いですが、依存症のメカニズムや解決方法は、わかりやすいです。インターネットポルノ依存症が取り上げられています。

【自慰行為・ネットポルノ依存】
ドーパミン復活禁欲法【対話版】

本書では自慰行為とネットポルノが脳に与える影響について 主に「ドーパミン」に焦点を当て、読むだけで根本的な部分から 禁欲のメリットとその継続方法を自然にインプットできるよう、全編対話形式で構成しております。

amazon

睡眠、セロトニン復活ストレス解消、メンタルブロック浄化などでも、ベストセラーとなっているJegさん。今回は、ドーパミンに焦点をあて、自慰行為やネットポルノへの依存からの回復方法を探ります。

Kindle Unlimtied 対象。短時間で読めますし、対話形式で漫画並みに読みやすいです。

セックス依存症

2000人以上の性依存症者と向き合ってきた専門家が、実例をもとにセックス依存症の実態に迫るとともに、専門機関での治療や、ほとんど知られていない自助グループでの回復へ向けた取り組みを紹介。さらに性依存症の背景にある「男尊女卑」「性欲原因論」「家庭での性教育」といった社会問題を解き明かす。

amazon

性欲が強い変態などの偏見が持たれがちですが、性依存症の原因は性欲だけではなく、脳の報酬系の機能不全であり、「やめたくてもやめられない」状態であること、承認欲求や過去の経験による性的嫌悪などが関わっていることが、よくわかります。

性依存症の実例、自助グループや医療機関、回復するための12のステップなども、わかりやすく解説してあります。新書ですから、短時間で読めるボリュームです。

【共依存・恋愛依存・性行為依存】
恋愛依存症

恋愛心理学の第一人者が、●共依存＝苦しい愛から抜け出せない。●回避依存＝幸せになるのが怖い。●ロマンス依存＝愛の刺激にはまる。●セックス依存＝苦しみを性愛でしか癒やせない……という、恋愛依存症の４つのタイプを心理学的視点で解説。不幸の連鎖を断ち切るための、「回復への10のステップ」を説く。毒親、境界性パーソナリティ障害、未完の仕事、アッパーリミット、自己確認、認証……失われた愛とともに、心の傷にも癒やしを与えてくれる本

amazon

「苦しい恋」の視点から、共依存、回避依存、ロマンス依存、セックス依存という、恋愛依存症のメカニズムを紐解いていきます。毒親、アダルトチルドレン、シンデレラストーリー、ポルノ依存などとの関連、回復のステップもわかります。

日常生活に支障が出たり、倫理的に問題がある性依存とは違うけれど、恋愛やパートナー、性行為等への依存を感じたり、恋愛に苦しさを感じているのであれば、この本がオススメです。

インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学

2012年のTEDxトーク「大いなるポルノ実験」は900万回以上視聴され、18言語に翻訳されたほどの人気。

ドーパミンと、ドーパミンのトリガー行為の置き換えがベースです。

ドーパミンが脳と体にもたらす影響や依存性を解説した読み応えのある本は他にもありますが、性的欲求やインターネットポルノ視聴という切り口で攻めてくる本で、これほどの内容に深みがある本は、他にないでしょう。

アメリカらしい言い回しもあるので、翻訳本に慣れていないと、最初は読みにくさがあるかもしれません。また、日常的にポルノにお世話になっていない方は、さほど面白さを感じないかもしれませんが、お世話になっている方は、楽しく読める本かと思います。

ドーパミン中毒

人は「推し」に夢中になると昼夜を忘れ、やがて「沼」にハマってしまう。その鍵を握るのが「脳内快楽物質」ドーパミンだ。恋愛、セックス、買物、ゲーム、ＳＮＳ、酒、ギャンブル、薬物……快楽をビジネスにする「ドーパミン経済」の渦中で、現代人が陥る依存の対象は数限りなくある。スタンフォード大学医学部教授で、かつて自身も依存症を経験した第一人者が教える脱出法と、心豊かに生きるための防衛術。

amazon

「快楽」と、快楽を望む「苦痛」のシーソーゲームのバランスが崩れた先にある「依存症」や、バランスの取り戻し方が、多くの実例とともに解説されています。

新書なので、手軽に読めるのも魅力です。